本書は、システム管理者の立場から OpenSSH の使い方を 説明したものです。OpenSSH は、現在 UNIX を使っているユーザにとって ほぼ常識ともいえるツールになっていますが、 まだその活用方法が広く理解されているとは言えません。 本書では OpenSSH の概略とその仕組みから、インストール方法、 基本および応用の使い方、トラブルシューティング、 そして安全に使うためのさまざまな工夫を紹介しています。
このところ、毎日のように「コンピュータセキュリティ」という言葉が メディアに登場していますが、この言葉には どこか人を遠ざける重苦しい響きがあります。 本書では、一見セキュリティとはかけ離れているかに見える 「便利さ」をなるべく前面に出すように心がけました。 なぜなら、セキュリティ対策というものは誰もが肩肘はらずに 実行できるようになってこそ初めて本当に意味があるものであり、 そのためにはまず「使う意義のある」ものでなければならないと思うからです。 結局のところ、セキュリティを守る究極的な要素とは 特定のソフトウェアや技術ではありません。UNIX でいえば それは一般ユーザの意識であり、システム管理者の気くばりと 常識的な感覚であるといえるでしょう。本書を通じて、多くの方々が 「使う意義のあるセキュリティ」への道を模索していただければ幸いです。
なお、本書の発行後に更新された情報、正誤表などは、 以下のページで公開しています:
http://www.unixuser.org/~euske/openssh-intro/
本書が完成するまでには、いろいろな方にご協力いただきました。 豊橋技術科学大学の尾田晃さん、鶴田雅信さんには、 原稿に対してさまざまなコメントをいただきました。 また unixuser.org の春山征吾さん、川原将司さんには 日頃からサーバ環境を使用させていただています。 この場をかりて感謝いたします。
最後になりましたが、本書を書くきっかけを与えてくださり、 最後まで快くつきあっていただいた秀和システムの木津滋さんに 感謝いたします。ありがとうございました。
2006年6月 新山 祐介