はじめに

Last Modified: Tue Sep 21 11:12:43 UTC 2010

本書は、システム管理者の立場から OpenSSH の使い方を 説明したものです。OpenSSH は、現在 UNIX を使っているユーザにとって ほぼ常識ともいえるツールになっていますが、 まだその活用方法が広く理解されているとは言えません。 本書では OpenSSH の概略とその仕組みから、インストール方法、 基本および応用の使い方、トラブルシューティング、 そして安全に使うためのさまざまな工夫を紹介しています。

このところ、毎日のように「コンピュータセキュリティ」という言葉が メディアに登場していますが、この言葉には どこか人を遠ざける重苦しい響きがあります。 本書では、一見セキュリティとはかけ離れているかに見える 「便利さ」をなるべく前面に出すように心がけました。 なぜなら、セキュリティ対策というものは誰もが肩肘はらずに 実行できるようになってこそ初めて本当に意味があるものであり、 そのためにはまず「使う意義のある」ものでなければならないと思うからです。 結局のところ、セキュリティを守る究極的な要素とは 特定のソフトウェアや技術ではありません。UNIX でいえば それは一般ユーザの意識であり、システム管理者の気くばりと 常識的な感覚であるといえるでしょう。本書を通じて、多くの方々が 「使う意義のあるセキュリティ」への道を模索していただければ幸いです。

なお、本書の発行後に更新された情報、正誤表などは、 以下のページで公開しています:

http://www.unixuser.org/~euske/openssh-intro/

本書が完成するまでには、いろいろな方にご協力いただきました。 豊橋技術科学大学の尾田晃さん、鶴田雅信さんには、 原稿に対してさまざまなコメントをいただきました。 また unixuser.org の春山征吾さん、川原将司さんには 日頃からサーバ環境を使用させていただています。 この場をかりて感謝いたします。

最後になりましたが、本書を書くきっかけを与えてくださり、 最後まで快くつきあっていただいた秀和システムの木津滋さんに 感謝いたします。ありがとうございました。

2006年6月 新山 祐介


Yusuke Shinyama