人造人間として力を増して生まれ変わったキピンジャー。長官の指導のもと彼は日夜敵と戦い続けていた。戦うたびに自分の力不足を認めるキピンジャーは新必殺技の開発に取り組んだ!5日5晩考えたすえ彼はついにとてつもない技を習得した。それが「フジヤマ=ピンポン=ブリーカー」だ。この必殺技の身につけたキピンジャーに敵はいない。
フジヤマ=ピンポン=ブリーカーで連戦連勝を重ねるキピンジャー。だが彼にもたった一つ不満があった。それは長官の作るカレーでは満足できない、ということだった。モモピンジャーのとてつもなくうまいカレーを食べなれていたキピンジャーはもう普通のカレーでは納得できないようになっていたのだ。おいしいカレーが食べたくて苦しむキピンジャー。そこに…。
温泉で休養していたアカピンジャーが戻ってきた!カレーのことを相談するキピンジャー。するとアカピンジャーは「やっぱりカレーっていったらインドだろ」。『インド』。その言葉に目を開かされたキピンジャーはインドに行くことを夢見るのだった。しかしまだ日本には敵がいる。インドに行きたい気持ちと敵と戦わなくてはという気持ちの狭間で、キピンジャーは揺れ動くのだった。
こうなればさっさと敵を倒してしまい、そのあとでインドにいくのみ。キピンジャーはそう決意した。さっそく敵の本拠地にのりこもうとするキピンジャー。しかし長官は止めるのだった。「失敗した時、敵と戦うものがいなくなってしまう。アカピンジャーや私はもう年だからいつ死ぬかわからないのだぞ。」と。しかし、キピンジャーはカレーのために敵の本拠地へとむかうのだった。
ついに敵の本拠地に突入するキピンジャー。「フジヤマ=ピンポン=ブリーカー」で敵をなぎたおす。そして、ついに敵の首領のところまでたどりついた。しかし、さすがに首領、キピンジャー大苦戦。ついに首領がキピンジャーにとどめをさそうとしたその時。「おいおい、てめー俺の弟分になにしてやがる?ところで、おまえ、俺がNASAにいってたことは知ってるよな?」まさか、その声は…?
もちろん、その声はアカピンジャーだった。最強の技「アカピンジャーの語り」に首領は瀕死の状態。そこへ「フジヤマ=ピンポン=ブリーカー」が突き刺さる。アカピンジャーに感謝するキピンジャー。するとアキピンジャーは「ふん、やつは俺がNASAにいってたことを知らなかった…」といった。おかげでキピンジャーは心おきなくインドへと旅立つことができるのだった。
ついにインドにやってきたキピンジャー。早速モモピンジャーのカレーに対抗できるカレーを探すが、なかなか見つからない。評判の店やら、おいしいカレーを作ると評判の奥さんのところやら、怪しい店やら、探しに探したがモモピンジャーのカレーほどのうまさのものはない。おいしいカレーが食べれなくて苦しむキピンジャー。そして3年もの年月が流れてしまった…。
しかし、3年間の放浪は無駄ではなかった。ついにおいしいカレー、しかもとびきりのものがある場所の名前をキピンジャーは知ったのだった。その名は「ガンダーラ」。そしてキピンジャーはガンダーラを探す、探す、探す。が、見つからない。しかしあきらめないキピンジャー。そしていつしか7年の年月が流れた。そしてついに…。
ついに、ついに、ガンダーラへの入口をみつけたキピンジャー。キピンジャーのカレーへの情熱が、届いたのだった。ガンダーラへと赴くキピンジャー。そこ、ガンダーラにはカレーの王子様とカレーのお姫様がいた。さっそくカレーを注文するキピンジャー。そして、出されたカレーはカレーのお姫様がつくったものだった。
「おごあぁ」。カレーのお姫様がつくったカレーを食べたキピンジャーは奇声を発してしまった。久しぶりにすごくおいしいカレーを食べたのでおもわず声がでてしまったのだ。しかしそれでもモモピンジャーの作ったカレーにはおよばないような気のするキピンジャー。しかしカレーのお姫様がつくったカレーに何かを感じたのだった。
カレーのお姫様に熱い視線を送るキピンジャー。その視線に対して微笑をもって答えるカレーのお姫様。なにやら怪しい雰囲気を感じるカレーの王子様。そしてその夜。キピンジャーはカレーのお姫様の部屋へと行くのだった。突然の訪問に驚くカレーのお姫様。そしてキピンジャーは…。
キピンジャーはカレーを注文するのだった。注文に応じてカレーを作るカレーのお姫様。そして出されたカレーを食べるキピンジャー。あいかわらずおいしい。そしてそれは、先程食べたカレーよりもおいしくなっているように感じるのだった。それを見て微笑むカレーのお姫様。カレーの礼をいって自分にあてがわれた部屋に戻ったキピンジャーは、これからもっともっとおいしいカレーが食べられるのではないかという根拠のない期待に胸をふくらますのだった。
次の日、その次の日とさまざまなカレーをガンダーラで出してもらって食べるキピンジャー。しかしやはりカレーのお姫様がつくったカレーが一番おいしいと感じるのだった。そこでキピンジャーは毎夜カレーのお姫様の部屋に行きカレーを注文するのだった。そしてカレーのお姫様の作るカレーはどんどんおいしくなっていくのだった。
しかし、キピンジャーがカレーのお姫様のところに行くのを、カレーの王子様が黙って見ているはずはないのだった。そしてカレーの王子様は計略をめぐらすのだった。キピンジャーを殺す計略を。それを知らないキピンジャーは毎夜カレーのお姫様のところに行き、カレーはますますおいしくなりモモピンジャーの作ったカレーの域にせまっていくのだった。
今夜、キピンジャーがカレーのお姫様の部屋から出てきたところを襲い殺す計画を立てたカレーの王子様。しかし彼は悪い奴なので、快く思わない奴はいっぱいいる。その一人が計画をカレーのお姫様にもらした。そしてその夜キピンジャーはカレーのお姫様の部屋をおとずれる…。
別れのカレーを食べるキピンジャー。なんと、そのカレーの味はモモピンジャーの作るカレーと同じくらいおいしいのだった。そして窓から逃げるキピンジャー。計画がもれていたことを知り、キピンジャーを追うカレーの王子様。しかしおいしいカレーを食べたキピンジャーに追い付くことは何者にもできないのであった。
日本に帰る船の中でキピンジャーはついに気づいたのだった。モモピンジャーのカレーがおいしかったのも、カレーのお姫様のカレーがおいしくなっていったのも「愛」によるものだったということを。そして、おいしいカレーがまた食べられなくなったキピンジャーは泣いたのだった。
人造人間キピンジャー・完